双極性障害の治療を受ける中でも、病気とうまく付き合っていくことも立派な治療方法のひとつです。

発病してからなるべく早いうちに、自分が双極性障害であるということを受け入れ、症状は慢性的であり長い時間をかけて治療を行うことが大切です。

他にも、回復への道順として心がけたほうがよいことはあるのでしょうか?

【生活上の注意】

心がけの中で、一番大切な点は無理をせず生活リズムを守ることです。

双極性障害の人は、たった一晩徹夜しただけでも、急激に躁状態になる「躁転」をしてしまうことがあります。

病気の時に徹夜は厳禁です。

毎日の生活リズムを保つ中でも些細なきっかけで躁転してしまうことがありため、躁転の微候があると自覚している時には特に、人と会ったり刺激を受けるような行動は避けた方がよいでしょう。

また、双極性障害の治療を受けている事実や、躁状態になった時に行動面の変化が現れるため避けてほしいことや理解してほしいことなどを周囲に伝えていれば、未然に躁転のトラブルを避けることもできます。

【周囲のサポートも大切】

※記事ピックアップ⇒http://www.excite.co.jp/News/column_g/20161106/Mocosuku_16117.html

双極性障害の患者に対し、家族をはじめとした周囲の人はどのようにサポートすればよいのでしょうか?

たとえば、躁状態の時は、気持ちが高揚しているため自分が偉くなったように感じてしまいます。

家族を大切に思っていることは誰しも同じですが、躁状態の場合は普段は大切に思っている家族に対しても尊大な態度を取ったり、些細なことで罵倒して傷つけてしまうことがあります。

これは病気がそうさせているためであって、本心ではないことが明確なのです。

躁状態が落ち着くと普段の状態に戻るため、患者本人もそうした行動や言動に強い後悔や自責の念を抱えてしまうことが少なくありません。

もし、きつく当たってしまっても「病気」がそうさせているのだと患者に伝え、普段の状態になった時にうつ状態に陥らないようにうまくサポートすることが大切です。

【家族の協力が不可欠】

家族が病気と向き合う中でいちばんやってはならないことは、家族が感情的となることです。

躁状態の患者に言い返して喧嘩の状態になったり、うつ状態の患者を否定するなど感情的な対応を取ることは、病気を悪化させるだけでなく再発を繰り返すという悪循環を招きます。

悪化や再発を防ぐためにも、家族が双極性障害への理解を深めることは大切といえます。

この病気は、症状に苦しむのは患者自身であっても、家族全体に大きな影響を与え家族もまた苦しんでしまうことが往々にしてあります。

家族全体が協力して治療に取り組む事によって、患者のペースを尊重し乗り越えていくことが寛解への道です。

双極性障害と診断されたら、誰しも不安になります。

うつ病のように適切な治療を行えば寛解するような病気もあれば、双極性障害のようにいちどは寛解に近づいても再発率が高く、治療に長い時間を要する病気もあります。

「治るのか治らないのか分からない」状態は出口のないトンネルのようで、どのような治療方法を行っている場合でも不安はつきまとうものです。

その不安を払拭し、病気と付き合っていくためにはどのようにすればよいのでしょうか。

【病識を持つ】

まずは、自分が双極性障害という病気であること、そして症状があるから治療するということを認識するということが大切です。

それは何も後ろめたいことではありません。

自分が風邪をひいたならば、風邪であると自覚するのと同じことです。

病識を持つことが、寛解への第一歩であり、病気と付き合うことで最も大切といえます。

【信頼できる医師を見つける】

双極性障害は目に見えないうえに、身体の中で最も大切な脳に関する病気です。

医師の治療方針に患者自身が納得し、積極的に治療を受けることが大切です。

医師を信頼していなければ、治療へ積極的に参加することは不可能です。

そのためにも、医師との適切な信頼関係を結ぶことが大切です。

【処方された薬を必ず飲む】

双極性障害の薬は継続的に服用することで、改善へと向かっていきます。

指定された量を決まった時間に必ず飲むようにしましょう。

量を守らず、薬を大量服用することは思わぬトラブルを招きかねません。

調子が悪い時は、頓服を処方してもらうこともできます。

【日々の状態を記録し、生活リズムを整える】

日々の気分や通院日、薬のチェックなどを記録しておくことで自分の体調変化のパターンがよく見えます。

決まった時間に起床・就寝することはもちろんのこと、食事の時間や入浴時間においてもできる限り毎日同じ時間に行うことで生活リズムが整います。

また、食生活においても見直しましょう。

暴飲暴食はもちろんよくありませんし、躁状態を悪化させてしまいます。

甘いものの大量摂取も脳の機能を鈍らせてしまうので控えましょう。

生活リズムが整ったら、軽い運動をすることも大切です。

有酸素運動、たとえばジョギングやウォーキングは効果的です。

ヨガなども自分を見つめるという意味ではお勧めです。

【その他にも・・・】

ストレス解消のための趣味を見つけたり、季節の変わり目は特に体調の変化が大きいため無理をしないで過ごすことも大切です。

また、人付き合いがストレスになることもありますので、無理のない範囲で行うことも大事です。

双極性障害の治療方法は薬物が欠かせませんが、心理的な治療もまた大切な要素です。

心理社会的治療と呼ばれており、心理面や社会的な方面から適切な治療を行い、治療後の生活のために心理や社会的スキルを改善、回復していく治療のことを指します。

心理社会的治療は「心理教育」、「家族療法」、「認知療法」、「対人関係・社会リズム療法」に大別されます。

【心理教育】

心理教育とは、自ら双極性障害について学習し理解することで、病気を受け入れコントロール出来るようになることが目的とした治療方法です。

双極性障害は自覚症状が少ない疾患のため、発症初期に効果的とされています。

自分が今どんな気分なのか、気分にどんな波があるのかを日記のように毎日記録することにより病気の状態を客観視できるようになります。

【家族療法】

精神疾患の治療は患者だけでなく、周りの理解や協力が不可欠です。

家族療法は、双極性障害に対する家族の理解を深め、協力して病気の治療を進めるようにすることが目的です。

特に双極性障害は再発率が高いため、再発を防止するためには服薬の継続(服薬コントロール)をサポートするなど、家族の協力が大変重要といえます。

また、患者の躁状態は家族の負担となるため、家族が病気を理解することは躁状態への適切な対応ができるという意味でも効果的です。

【認知療法】

うつ病でもあることですが、双極性障害のうつ状態では認知の歪みが生じます。

自己評価が極端に低くなり「自分は何をしてもダメだ」「生きている価値がない」といった思考に陥ります。

それは本当のことではなく、病気がそうさせているのです。

客観的に自己を見つめることで、自分を肯定的に捉える力をつけ、うつ状態を乗り切るための思考力を身につけるのが目的です。

【対人関係・社会リズム療法】

現在自分がおかれている社会生活が病気にどのような影響を及ぼすかを客観視させ、快方に導く治療方法です。

対人関係療法は、現在抱えている対人関係にどのような問題やストレスがあるかを洗い出し、家族や同僚・クラスメイトや友人との人間関係を回復させ、病気の悪化や再発を防ぐために行われます。

社会リズム療法は、起床・就寝時間、通勤時間、朝食・夕食などの時間や他人との会話や仕事から受けた刺激、出来事などを記録することで、自分の生活リズムを把握させます。

その中から規則正しい生活が送れるよう修正していくことが大切です。

双極性障害の治療に使われる薬物で、気分安定薬の次によく用いられているのが抗精神病薬です。

治療方法として、気分安定薬とも併用して使われることの多い抗精神病薬ですが、どのような薬なのでしょう。

【非定型抗精神病薬について】

双極性障害の治療に処方される非定型抗精神病薬は、主に統合失調症の治療薬として長らく効果を発揮してきました。

しかし、ドーパミンなどの神経伝達物質を遮断する役割が、双極性障害の治療にも効果を発揮するといわれており現在は双極性障害にも積極的に用いられています。

現在保険適用になっている薬は以下の2つです。

・エビリファイ(アリピプラゾール)

 他の抗精神病薬はドーパミンをシャットアウトする作用がありますが、エビリファイはドーパミン量をうまく調整する役割があります。

ゆえに、穏やかに患者に作用し、副作用が少ないことが特徴です。

とくに躁状態の改善をうながしますが、穏やかに効くため急性期の患者や興奮状態を速やかに抑えるというわけではありません。

・ジプレキサ(オランザピン)

 ジプレキサは強い鎮静作用を持ちます。

躁状態の興奮を抑えると同時に、眠りをもたらす効果もあるため、不眠を訴える患者にも用いられます。

また、陰性症状(うつ状態)にも効果を発揮します。

ジプレキサの副作用は体重の増加です。

特に糖尿病患者への処方は禁忌となっています。

【睡眠導入薬】

双極性障害には躁状態・うつ状態に限らず不眠の症状が出る場合があります。

寝付きが悪い、早朝覚醒してしまうなどの不眠がある際に一時的に睡眠導入剤を処方されることがあります。

主に、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤が処方されていますが、長期服用すると耐性がついてしまいやすく依存を引き起こす場合があるので注意が必要です。

主治医の指示に従い、決められた量を服用するようにしましょう。

また、急な減薬は不眠を助長する可能性があるため、ゆっくり行う必要があります。

睡眠をコントロールし、規則正しい睡眠をとるようにすることが改善への第一歩です。

【抗うつ薬は躁転に注意】

双極性障害のうつ状態の治療で、抗うつ薬を服用した場合、うつ状態から急激な躁状態が出現する躁転が引き起こされることがあります。

例えば、双極性障害と気づかずうつ病だと思い込んでうつ病の治療をしているケースがあります。

治療の過程や、以前の病歴で少しでも躁状態に近い症状が現れたら、主治医に伝え適切な診断を受ける必要があります。

双極性障害の治療方法のうち、ほとんどの患者に用いられているのが薬です。

薬物療法に使われる薬には気分安定薬と抗精神病薬が代表的です。

また複合的に不眠などの症状があれば、並行して睡眠導入薬を用いることがあります。

【気分安定薬について】

双極性障害の治療にいちばん多く用いられている薬といえば気分安定薬です。

気分安定薬は躁うつの気分の波を小さくし、その名の通り気分を安定させる効果があります。

気分安定薬がなぜ躁とうつの両方に効果があるのか明確に解明されてはいませんが、神経系統に何らかの作用を及ぼすためといわれています。

代表的な気分安定薬は以下の通りです。

【代表的な気分安定薬】

・リーマス(炭酸リチウム)

 双極性障害の治療に使われる最も代表的な薬です。

その歴史は数多くある精神疾患の薬の中でも古く、日本では1980年から取り扱われています。

リーマスは躁状態、うつ状態いずれも和らげる作用があり、さらに再発を抑える効果があります。

特に躁状態への効果が高く、衝動による自殺行為を防ぐ意味合いでも用いられています。

この薬の注意すべき点は副作用です。

リーマスの主成分であるリチウムは双極性障害に効果のある処方量と中毒域の量がたいへん近いため血中濃度が一定数を超えるとリチウム中毒を引き起こしかねません。

気分がもうろうとしたり、嘔吐する場合はすぐに服用をやめましょう。

そのため患者には血液検査が課されます。

また妊婦が服用すると、胎児に影響を及ぼすため処方は禁忌です。

・デパケン(バルプロ酸ナトリウム)

 リーマスと並んで古くから双極性障害に用いられているのがデパケンです。

元々てんかんの薬として処方されてきましたが、イライラや不機嫌を伴う躁状態に効果があるとされています。

リーマスと同じく躁状態と再発予防に効果がありますが、うつ状態の改善は弱いといわれています。

また、肝臓への負担がかかるため服用している人は定期的な血液検査で肝機能を調べることが義務付けられています。

・ラミクタール(ラモトリギン)

 近年用いられつつある双極性障害の治療薬です。

どちらかといえばうつ状態に効果を発揮します。

まれに皮膚のかゆみや湿疹などの副作用があるため、少量から処方する必要があります。

・テグレトール(カルバマゼピン)

 デパケンと同じく元はてんかんの薬で、抗躁作用があるとされています。

しかし、抗うつや再発予防の明確な効果は確認できておらず、副作用もあるため上記の薬で効果が期待できない場合や他の治療方法と併用して使われることが多いです。