双極性障害Ⅰ型と双極性障害Ⅱ型は、もちろん症状の違いで分類されていることに間違いありませんが、それだけではありません。

同じ双極性障害という病名であってもⅠ型とⅡ型は全く異なる疾患といっても過言ではないでしょう。

【遺伝的な違い】

双極性障害に限らず、精神疾患は遺伝的な要素が強い傾向があります。

家族や親族にうつ病や統合失調症の患者がいる場合、子供も同じ病を発症しやすい傾向にあることが知られています。

双極性障害においてもⅠ型・Ⅱ型とも同じ遺伝的要素があるのなら、生まれた子供はⅠ型・Ⅱ型いずれかに罹患するはずです。

ですが、双極性障害Ⅱ型の既往歴がある親から生まれた子は、Ⅰ型よりもⅡ型を発症する率が明らかに高いという報告があります(逆もまた然りです)。

その結果、遺伝子的見地からⅠ型とⅡ型は異なる疾患であると考えられています。

【経過・症状の相違】

双極性障害Ⅰ型とⅡ型は、一見するとⅠ型の方が症状が重篤であり、Ⅱ型は軽微な印象を受けがちです。

ですが、それぞれ異なったリスクがあるためⅡ型は症状が軽いからといって安易に軽視してよいわけではありません。

例えばⅠ型は、躁状態が顕著に現れるため人間関係のトラブルに巻き込まれたり、金銭的な不利益を生じさせてしまうリスクがあります。

それに対し、Ⅱ型の躁状態は「衝動性」に向かっていくことが特徴です。

軽躁状態における前向きな気持ちが「自殺企図」「自殺行動」に向かうため、自殺率がⅠ型よりも多いのがⅡ型の大きなリスクといえましょう。

このように、Ⅰ型もⅡ型も種類の違うリスクが伴います。

【治療の薬が異なる】

共通点としては双極性障害Ⅰ型もⅡ型も、基本的に治療方法は投薬を中心に行われます。

治療に用いる薬も同じものを処方されることが多いようです。

ですが、やはりⅠ型とⅡ型では症状の出方により処方される薬を変えた方が症状が安定する場合があります。

典型的なⅠ型に関しては気分安定薬が比較的良く効くことが知られており、実際の医療現場でも気分安定薬を併用して治療を行う病院が多いようです。

逆にⅡ型は「衝動性が強い」という特徴があるため、双極性障害の代表的な治療薬である炭酸リチウムなどはオーバードーズ(過剰服薬)で命の危険に患者をさらしてしまう可能性があります。

また、Ⅱ型については気分を安定させるより、衝動性を抑えることに特化した鎮静力のある抗精神病薬の方が適していることもあるとされています。